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2024年03月07日

開発が進む週1回投与の抗HIV薬
Once-weekly antiretrovirals on the horizon

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carballo/Shutterstock.com

週1回の経口投与が可能な2種類の抗HIV薬が、今週、米国のデンバーで開催された第31回CROI 2024で発表された。

この新しい薬剤については、適切な投与量を決定し、重篤な副作用の有無を確認する第I相試験が実施されている。有効性、投与における安全性を確認するその次の段階の試験を完了させるためには3~5年かかる場合がある。今週発表された抗HIV薬は、近い将来に利用可能になることはないが、抗HIV薬市場が治療薬およびPrEPの両方において投与回数の減少方向に向かっていることを示している。

新規核酸系(ヌクレオシド)逆転写酵素阻害剤の一種であるMK-8527は、週1回投与のHIV治療薬および月1回投与のPrEPとしてMerck社が開発中である。

安全性および有効性を評価する2件の第I相試験には、抗レトロウイルス療法(ART)歴のないHIV感染者37名が組み入れられた。5つの用量(0.25、0.5、1、3または10 mg)を単回投与し、投与後7日におけるウイルス学的有効性を評価した。

ウイルス量の減少は、以下の通りであった:

  • 0.25 mg投与で-0.80 log
  • 0.5 mg投与で-1.39 log
  • 1 mg投与で-1.21 log
  • 3 mg投与で-1.66 log
  • 10 mg投与で-1.39 log

HIV非感染者対象の2件の試験では、単回および反復投与の薬物動態を評価した。治験薬と関連する有害事象は軽度または中等度であった。

そのうちの1件の試験では、34名を対象に用量を漸増して0.5~200 mgを単回投与した。5 mg以上の用量では、野生型HIV-1に対する抗ウイルス活性の閾値を超える濃度が得られた。もう一方の試験では、4群(各群8名)に、MK-8527(5~40 mg)またはプラセボを1週間ごとに3回投与した。3回投与時のMK-8527の半減期は216~291時間の範囲であり、用量依存性を示したことから、研究者らは薬物動態プロファイルは週1回投与、およびおそらくそれより長い間隔での投与を支持していると結論づけた。

2つ目の抗HIV薬GS-1720は、Gilead Sciences社が開発中の週1回経口投与のインテグラーゼ阻害剤である。

第Ia相試験では、HIV非感染者8名を対象に、1,350 mgまで漸増投与したときの忍容性および薬物動態(半減期)を評価した。450 mgを単回投与した後、薬物濃度が半減するまでに要した時間の中央値は9.4日であり、週1回投与が支持された。

第Ib相試験では、HIV感染者における安全性および抗ウイルス活性について、GS-1720の4つの用量(30、150、450および900 mg)で評価した。各用量7名の被験者で評価した。
11日目におけるウイルス量の減少は、以下の通りであった:

  • 30 mg投与で-1.74 log
  • 150 mg投与で-2.18 log
  • 450 mg投与で-2.44 log
  • 900 mg投与で-2.37 log

450 mgまたは900 mgの投与を受けた被験者全員において、-1.5 log以上のウイルス量の減少が認められた。治験薬と関連する重篤な有害事象(グレード3以上)は報告されなかった。

CROI 2024では、後ほど、臨床試験の開発段階がもう少し進んでいる週1回投与の2剤併用療法の結果が発表される予定である。この小規模な第II相試験において、islatravirとレナカパビルは、それぞれ錠剤として7日ごとに投与されている。

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記載されている医薬品のご使用にあたっては、必ず各薬剤の製品添付文書をご参照下さい。

This material is based on an original copyright publication by NAM Publications, an independent HIV information charity based in the UK. Permission for this adaptation has been granted by NAM. The original publication can be viewed at www.aidsmap.com. NAM cannot be held responsible for the accuracy of the adaptation nor the local relevance of the text.

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